放課後は、秘密の時間…
時計の針が、時を刻んでいく音。

まるで、別れへのカウントダウンのように聞こえて、俺は電池を無理やり抜き取った。


同じリズムで動いていた秒針が、ピタリと止まる。


この時計のように、俺やあかりの上に流れる時間も止めることができたのならば、どんなに良かっただろう。



約束の土曜日は、明日。


――本当なら……

実習も終わった今、あかりをこの腕に抱きしめてるはずだった。


そして、旅行のパンフレットでも並べて、二人で眺めるんだ。

行き先を考えておくから、と言っていたあかりは、きっと俺に謝る。


「だって、どこも素敵で、決められなかったの」


夜中、悩み続けても、多分行き先は決まらないまま。

誕生日はもう明日だと言うと、大也がお祝いしてくれたらそれだけでいい、なんて可愛いことを呟くんだろう。


たまらなくなってキスをすると、君は顔を真っ赤に染める。

大好きな、イチゴのように――


まぶたの上に、けして手に入らない、だけど、手に入るはずだった未来を思い描く。


失うことは、もう十分に分かってる。

ならばせめて、この続きを、このまま夢に見させてほしい。


強く願いながら、眠りについた夜。

浅い睡眠は、そんな望みも叶えてはくれなかった。

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