放課後は、秘密の時間…
重い足を引きずって、待ち合わせした喫茶店へと向かった。


今にも雨が降り出しそうな厚い雲が、空を暗く覆っている。

まるで、俺の心を移しているようだと思った。


ドアを押して中に入ると、あかりはもう席に座っていた。

小さな身体が、今日は一層小さく見える。


もしかしたら、別れを告げられる方だけじゃなく、告げる方も辛いのかもしれない。


そんなことを頭の片隅で考えながら声をかけると、彼女の肩がビクッと震えた。

一瞬、言葉を失う。


俺を見上げた真っ赤な目が――

今にも、泣き出しそうだった。


「――何かあったのか?」


本当は、聞かなくても分かってた。

あかりにこんな顔をさせられるヤツなんて、今は一人しかいないだろうから。


もちろん、それは俺じゃない。


ここに来たら、きっと俺達は終わるんだろうと、そう思っていた。

でも、そう決め付けるのは、まだ早いのかもしれない。


弱みに付け込むのは、最低な手段だろうか?

だけど、そこまでしてでも、失いたくないものがある。


失いたくない人がいる。


例えそれが誰かに罵られるような行動であっても、俺は迷うことなく選ぶだろう。

あかりを、この腕に取り戻せるのならば。

< 292 / 344 >

この作品をシェア

pagetop