《短編》想い人〜叶わぬ想い〜
空いてる席を探してると、


「俺の横、誰もいなくて寂しいんだけど。」


なんて声が聞こえてきた。


二次会の時からいいなと思っていた人の声。


忙しくて話することが出来なかったから三次会では期待してたんだ。

でもそんなこと悟られたくなくて、なかなかいけないでいたら、

「じゃー亜季が座ってあげる。」


馬鹿みたいに考えてたからチャンスを逃しちゃった。

いつもそうなんだよね。変なプライドで、出来もしないのに駆け引きしようとして失敗する。

今だってそう。さっさと座ればよかった…そう思ったって後の祭り。結局素直な可愛い子に先越されちゃった。


ハァ…

俯くあたしに、

「奈々こっちこっち。早く来て。」


呼ばれたその声に救われた。



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