《短編》想い人〜叶わぬ想い〜
「カンパーイ。」
何度目かわからない乾杯にグラスをよせた。一人ずつグラスを合わせていくと今まで空席だったあたしの左隣に誰かが座った。
気にもとめずにグラスを向けてハッとした。神様はあたしを見捨ててはいなかった。
合った目に熱がこもる。
「乾杯。ねえ名前は?」
あたしだけに言った訳じゃない。でも嬉しかった。隣に来てくれた。声をかけてくれた。それだけで舞い上がっちゃいそう。
冷静に、冷静に。
みんな順番に自己紹介。いよいよあたしの番。ここで株をあげとかないと。
「奈々です。23歳、新婦の会社の同僚です。」
つまらない…、実につまらない自己紹介。こんなんじゃ株をあげるどころか、印象にだって残らないよ…。
「奈々ちゃんね。俺は祐介。新郎とは高校の同級生で、28歳。卒業してから十年間連絡とってなかったから今日呼ばれてビックリしてます。」
そうなんだ。そりゃービックリだよね。でも今日来てくれたことに心の中で感謝してます。
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何度目かわからない乾杯にグラスをよせた。一人ずつグラスを合わせていくと今まで空席だったあたしの左隣に誰かが座った。
気にもとめずにグラスを向けてハッとした。神様はあたしを見捨ててはいなかった。
合った目に熱がこもる。
「乾杯。ねえ名前は?」
あたしだけに言った訳じゃない。でも嬉しかった。隣に来てくれた。声をかけてくれた。それだけで舞い上がっちゃいそう。
冷静に、冷静に。
みんな順番に自己紹介。いよいよあたしの番。ここで株をあげとかないと。
「奈々です。23歳、新婦の会社の同僚です。」
つまらない…、実につまらない自己紹介。こんなんじゃ株をあげるどころか、印象にだって残らないよ…。
「奈々ちゃんね。俺は祐介。新郎とは高校の同級生で、28歳。卒業してから十年間連絡とってなかったから今日呼ばれてビックリしてます。」
そうなんだ。そりゃービックリだよね。でも今日来てくれたことに心の中で感謝してます。
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