永劫の罪人 光の咎人
 小瓶を運び終え、ロンドは誰もいない大礼拝堂に立ちつくす。

 辺りは夕日が沈みかけ、壁ぎわの燭台に灯されたロウソクの火も、間もなくその寿命を終えようとしていた。

(ヴィバレイ様のお気持ち、わからなくはないけど……ハミル様の御魂を、死してなお利用するなんて)

 ロンドは長い息を吐いて天井を仰ぐ。

 秘薬を使うことが、本当に正しいことなのだろうか? 
 ヴィバレイ様の判断を疑っているわけじゃなく、未熟な自分が情けない。

 息をかみ殺し、ロンドは奥の間への扉を見つめた。

(もう一度話してみよう。僕が早く一人前になればいいんだ。ハミル様に秘薬の副作用を背負わせるなんて、僕にはできない)

 再び奥の間へ行こうと、ロンドが一歩踏み出す。
 その直後――。

 荒々しく教会の扉が開かれ、一人の影が大礼拝堂へ躍りこむ。

 驚いてロンドが振り向くと、そこには革の鎧を身にまとった巨躯の男が、息を弾ませ、鋭利な琥珀色の目で室内をにらんでいた。
 たくましい手には、鋼の大剣がにぎられている。
 硬そうな短めの黒髪は、好き勝手に毛先がはねている。広い肩を激しく上下させ、眉間や目尻の皺を深くさせていた。


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