永劫の罪人 光の咎人
 ヴィバレイは法衣の懐から、臙脂色の表紙に豪華な文様が施された、古びた書物を取り出す。
 その刹那、ハミルの眉間に皺が寄る。

「それは……」

「清廉な教皇を演じながら、その裏では王を操り、この国を支配していた――私が若い頃、書庫でこの国最後の王の手記を見つけ出してな。王を手玉に取ったその英知を、ぜひとも借りたいと思ったのだ」

 皺からのぞく目を、ヴィバレイは鋭くさせた。
 ハミルの涼しい顔が崩れたのは一瞬だけ。すぐに彼は表情を消す。

「一体、私に何をお望みで?」

 多少の反発を予想していただけに、彼の態度が投げやりになっているように見える。

 ハミルが亡くなったのは二十歳の頃。
 まだ青二才かと、ヴィバレイの気分が大きくなる。

「実はな、貴殿にロンドの後見人になってもらいたいのだ」

「後見人がご希望なら、わざわざ私を生き返らせなくてもよかったのでは?」

 淡々と話しながら、ハミルはヴィバレイに冷ややかな視線を向けた。
 おそらく「そんなことのために、人を甦らせたのか」と言いたいのだろう。

 そんな冷視をもろともせず、ヴィバレイは理由を告げる。

「単にロンドが一人前になるのを見届けるだけなら、よほど高齢の教皇でなければ、誰でもよかった。だが……それだけではライラム教は廃れるだけ。私は最盛期のライラム教を取り戻したい。ハミル殿の時代の、国さえも操ることができたライラム教を」

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