ガラスのタンポポ#虹
“今、コーヒーいれるね?”


「奏来、いいよ。俺が麦茶出すから」


“…うん”


「奏来、ちょっと早いけどつわりが少し、な。最近じゃ匂いに敏感でコーヒー苦手なんだ」


「うん…。そうか」


つわり。


その言葉が奏来の妊娠に現実味を帯びさせる。


奏来のお腹には、オレの子がいる。


なんだか不思議な感覚。


“花音ちゃん、元気?”


「うん。元気だよ。あ、そうだ。花音からコレ、預かってきたんだ」


リュックの中からピンクオパールのブレスレットを出して見せると、奏来は、嬉しそうに受け取った。


その左手には、しっかりとオレの贈ったシトリン・クォーツの指輪が光っている。


やっぱり。


花音の部屋で見たのは、奏来の送った偽物。


“ありがとう、って、花音ちゃんに伝えてね?”


「うん」


「翔、麦茶」


「サンキュ」
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