悲しき 極道

 「…ごめんなさい…
  吸いました…」

ワシはショウケイが言うとる途中で謝った。

先手必勝や。

ショウケイはビックリしよった。

 「原野はお前さんは
  関係ないと言うとー…
  どっちや?
  んー?!吸ったんか?」

ワシはアホや…
ボケツほってもた…


ハラチンはワシをかばってた。

せやのに、先手必勝みたいな
卑怯な手を使ったさかい、
自爆してもた…


結局、ワシもシバかれて
グラウンドを、
裸足で走ることになった。

ワシがグラウンドを走っとると、
前にパンイチで走ってるヤツがおる。

ワシは抜きながら、
恐る恐る顔を見た。

 「…ハラチンやない…
  エレファントマンや。
  まだドツかれとんか…」

そいつは、エレファントマンみたいな顔してた。
ワシは、ハラチンのことが
気になってしゃーなかった…


その後、
ワシは寮に帰って反省文。

正座して書かされた…


次の日
学校についたワシは、
二階にあるハラチンのクラスに行った。

昨日、グラウンドをパンイチで走ってた
エレファントマンがおった。

ハラチンはおらん…

 「…殺されたんか…?」

よけー心配になった…


休み時間、
教室の窓から
エレファントマンが覗いて
ワシを手招きしとる…

恐る恐る近寄った。


 「…ハラチンか!?」

エレファントマンは、
うなずいとる…

…悪いけど、ワシは笑ってもぉた…

ハラチンも笑っとる。


しかし、喋られへん位ドツかれるとは…
可哀想に…


ワシ、鷹取寮やなくて良かった…


ワシは二度と、
タバコは吸わんとこぉと決めたー
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