悲しき 極道

里親

夏の帰省もワシはなかった。

ハラチンも、
タバコの件があったさかい
二週間の帰省が、
一週間になった。



学園で問題を起こすと、
帰省にひびく。



結局、あれからと言うもの
ワシらは懲りもせんと、
タバコは吸うとる…

やめると決めたんは、
あの時だけやな。



二学期が始まったら、
運動会に学芸会がある。

運動会はクミ体操に
力入れとるさかい、
1ヶ月も練習させられる…
ケガするし、疲れるしで
心身共にクタクタやで。

見にくる親なんか少ないのに…



少し前に、
代官先生から話あった。

 「…馬、オヤジさんと
  最近連絡が取れないな…」

心配そぉに言われたけど、
ワシは気にしやんかった。

逆にホッとしてたかも知れん。



運動会の日、
ワシの保護者はこやへん。

みんな親とおーて、
嬉しそぉや…

ワシは、
ちょっとスネながら歯磨いてた。


 「馬〜」

代官さんの呼び声や。

さっきみんな見てて、
羨ましぃてムカついたさかい、
壁を蹴飛ばした事で
怒られるんかも知れん…


寮長室に入ってビックリした。

そこには、
川西のオジサンとオバサンがおった。


代官さんが、
オヤジと連絡が取れんで
困ってたとこに
児童相談所から連絡があったらしぃ。

ワシのオジサンが心配で探してると。


事情が分かり、
身内が施設におることが
耐えがたかったオジサンらは、
ワシを引き取りたいと言うてきたらしぃわ。


その事は後で知ったんやがな。



二人は、
運動会を見にきてくれたらしぃ。


寮長室を出たワシは、
飛び跳ねて喜んだ!

なんか知らんけど、
嬉しぃてたまらんかった。



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