微かな香り
無駄に広い図書室に戻ると、高杉は相変わらずの格好のまま私の煙草を吹かしながら電話をしていた。
高杉は私に背を向ける様な形で電話をしているため、私の存在には気付いていない。
……あれ?
スクバが高杉の真後ろにある。
シャワー浴びる前は端の机に置いていたはず。
まぁ、中身見られても大したものは入っていない。
けど、取り敢えず喉が渇いた。
スクバの中にピーチティーが入ってある。
こそこそと高杉の後ろに近づきスクバをとった。
その時、電話口から女の甲高い声がしたのが微かに聞こえた。
高杉は私に気付くこともなく無言で相手の話を聞いている。
私は元いた席に戻ってピーチティーを開けて少し飲むと、通常のセ〇ルの携帯を開いた。
元彼からの着信が三件あった。
でも掛け直すこともせず携帯を閉じた。