恋歌 〜secret love〜
ゆっくりと微笑んだ先生の顔を

あたしはしっかりと目に焼き付けた。



「はい、頑張ります。

絶対に……頼城先生に、良い報告しますからね!」



そこまで自信があるわけじゃない。


でも、やれるだけのことは全てやったと思う。


あとは、今までに先生と、みんなと、自分でやってきたことをしっかりと本番でもやれば良い。


それができたら、あたしは大丈夫。



それが難しいことなんだって、わかってはいるけど……――――



「そうか。じゃあ、良い報告、期待してるぞ」



……そう言ってくれる人がいるから、あたしは頑張れるんだ。




高校3年の冬。

受験の前々日。


本番に挑むあたしの勝負の日々が、確実に近くなってきた。


それでも落ち着いていられるのは

これまでにやってきた全てのことが、あたしの中でしっかりと蓄えられてるってわかるから。



あたしは、きっと大丈夫……――――



目の前に佇む頼城先生を見上げて、あたしはにっこりと笑った。
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