恋歌 〜secret love〜
◆eleventh melody〜first〜

┗PIECE

「彩乃……もう良いよー」


「ダメ!まだ全然終わってないんだから!
今日は特別バージョンよ!」


「はぁああ……」


「溜息吐かないっ!」



後ろに立つ彩乃が、ばしっとあたしの背中を叩いた。



思わずびくっと体を動かすと、鏡越しに冷ややかな視線を向ける彩乃と目が合う。



「良いのよ!奏の世話やけるのもあと少しなんだから。

……それに、隆夢ちゃんに会うのも最後になるかもしれないんでしょ?

だったら、可愛くしなきゃ損じゃない」



そう言ってにっこりと微笑むと、彩乃はあたしの髪からアイロンを外した。


くるんって音を立てるみたいに、あたしの髪が揺れる。



「よっし!ほら、急いで!早く行くよ」


「う、うんっ!」



彩乃に言われて立ち上がって、鞄をいくつか手にとった。



もちろん、今回は飲み物も忘れない。



「完璧ね!行くわよ」



部屋を見渡してからそう言った彩乃に、あたしは軽く頷いてから続いた。
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