恋歌 〜secret love〜
「現在、弊社が行っているボーカルオーディションに応募していただきましたよね?

先日まで行っていた書類審査と映像審査に合格なさいましたので、ご連絡を……」


「ちょ!ちょっと待って下さいっ! あの、何のお話ですか?」



コーポレーションって何かの会社ってこと……だよね?



でも、オーディションって……?

応募?



頭の中には、はてなが飛び交うばかりで、話についていけない。



「あら? ご存知ありませんでしたか?」


「はい。応募した覚えもないんですけど……」


「……あ! 押端さんは、インターネットからの“他薦”でのご応募になっていますね。
相手の方からは、何もお聞きしていませんか?」


「え? はい……」



他薦って、誰かがあたしを推薦したってことだよね?



でも、そんなことをするような人、あたしの周りにはいないと思う。



家族はあたしがシンガーソングライターに憧れてることは知らない。



鶯加高校の友達だって、彩乃にしか話してないし……。


でも彩乃なら、応募する前に絶対あたしに言うはずだ。



大学の友達には、ここへ通ってることだって言ってないんだから、応募されるはずがないし……。



一体、どういうこと……?
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