恋歌 〜secret love〜
◇one point five melody

┗どうしようもないキモチ

偽善なんてめでたいもんじゃない。


これはただの自己満足。


いや……逃げ、か。



吹っ切れては、いる。


何度も描いた未来が叶わないことは十分わかってるし

今更過去に求めるものなんて思い出くらいしかない。




同時に、明日に求めるものだってなくなった。



だから、もう自分は誰にも惹かれないと思ってたのに……





期待に満ちてるようで、全てを諦めてるように見えた彼女が

どこか自分に似てる気がした。




授業では真剣に前を見つめて、ノートに向かう彼女。


部活にも懸命に、楽しそうに打ち込む彼女。



彼女の笑顔を見ると素直に嬉しいと思った。

淋しいと思った。



でも、彼女を理解して
理解されるような距離に自分はいない。



だからこんな想い、求めなければ良い。




これは

服が欲しいとか、時計が欲しいとかって感情とは違う気がする。


金で手に入るものなら、全て手元に揃えられるから……





それは

俺にとって久しぶりの諦めだった。
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