初恋の行方〜謎の転校生〜
「あまり驚かないんだな?」


柏木君がポツリとそう呟いた。


私は返す言葉が見つからず、下を向き、膝の上できつく結んだ自分の手を見詰めていた。


「気付いてたのか?」

と聞かれて、

「うん、柏木君の言い方で、なんとなくだけど……」

私は下を向いたままそう答えた。


柏木君は「そっか」と言ったきり、無言だった。


しばらくして、顔を上げて柏木君を見たら、彼は車の窓から外を見ているようだった。


少し前に屈み、柏木君の横顔を覗き見ると、彼は口をキュッと結び、目は……何も見ていなかった。


彼の視界の隅に私が映ったのだろうか。彼の唇が動き、「あいつは……」と言った。


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