初恋の行方〜謎の転校生〜
「許可?」


それを聞いて、私は一瞬柏木君と私が……なんて、都合の良い事を連想したのだけど……


「これをおまえに渡す許可」


そう言って柏木君は、一冊のメモ帳みたいなものを私に差し出した。濃いブルーの表紙の、綺麗なノートだった。


「これは……?」


「悠人の日記が書いてある」


「悠人君の?」


「ああ。読んでやってほしい」


「いいの?」


「いいよ。あいつも喜ぶと思うから」


私は悠人君の日記帳を受け取り、表紙に指を掛けると、


「読むのは帰ってからにしてくれ」


と柏木君に言われてしまった。
顔を上げて彼を見ると、


「おまえにこれ以上泣かれると、困るから」


と柏木君は、ちょっと怒ったような顔で言った。


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