初恋の行方〜謎の転校生〜

その時、


「おにいたん」


という子供の声がして、二人して声がした方を向くと、ピンクのモコモコのセーターを着た小さな女の子が、タッタッタとこっちに向かって走って来ていた。

すると柏木君は、

「ユキ、おまえも来たのか！？」


と言って腰を屈めて手を伸ばし、そこに女の子が飛びつくと、軽々とその子を抱き上げた。


私が目を丸くしていると、

「俺がこっちで会う“女”だよ」

と柏木君は言った。

私は一瞬意味が分からなかったけど、それが分かると、こっちにも彼女がいるんじゃないと分かり、ホッと胸を撫で下ろした。


ユキというらしい女の子は、色が白くて、黒目がちな目がクリッとしていて、とても可愛らしかった。


女の子は私と目が合うと、「おねえたん、だっこ」と言って、小さな手を私に伸ばして来た。