初恋の行方〜謎の転校生〜
「ねえ、私には話してくれてもいいでしょ?」


甘えるような声でそう言ったのは本庄紗耶香だ。


彼女は俺と同い年で本庄家の長女。本庄家は元華族とかだそうで、要するに由緒ある家らしい。

俺達は同じ高校に通い、こうしてベッドを共にする事も珍しくない仲だ。しかも、誰もそれを咎めたりしない。なぜなら、俺達はいずれ結婚する事が、両家の間で決まっているから。


紗耶香さんは割と美人で、性格はよく知らないが、結構さっぱりしていると思う。


ベッドでは今のように女っぽくなるが、普段はあまりお喋りもせず、結婚の相手としては申し分ないと思う。


「何の事ですか?」


紗耶香さんが言いたい事は分かっていたが、わざと惚けてみせた。


「隼人さんの意地悪……。なんとかっていう高校に、期限付きで転校する理由に決まってるでしょ?」


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