初恋の行方〜謎の転校生〜
「黒崎さん、バッグは俺の部屋に運んでください。それと、また後で運転をお願いします」


二つのスクバを手にぶら下げた黒崎さんにそう言うと、柏木君は私を抱き上げたまま靴を脱いだ。


そして毛足の長そうな絨毯の上を歩き、螺旋階段を上がって行った。


2階へ上がり、何部屋も在りそうな中の一つの部屋の前で止まると、漸く私は下ろしてもらえた。


柏木君はそのドアを押して開き、照明のスイッチを入れると「どうぞ?」と言った。


私は“いいのかな?”と思ったけど、ここまで来て今更……と思い、その部屋の中へ入った。


ここが柏木君の部屋なんだろうか?
私がイメージしてた男の子の部屋とは大分違っていた。


すごく広くて、部屋の奥よりにある大きなベッドと、大画面のテレビがやたらと目立っていて、勉強机や本棚などは見当たらない。


「この部屋って……」


思わずそう呟いたら、


「ここは俺の寝室」

と柏木君は言い、私の肩に腕を回した。


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