One STEP
「そっか!」
何を思ったのか、先輩はとても嬉しそうに無邪気に微笑んだ。
ドキンと胸が跳ねる。
この笑顔は反則だ。
男子じゃなくてもドキドキしてしまう。
こんなの男子が見たら、鼻血ブーで倒れるんだろうなぁ、なんて思いながら、天然は最強だと思った。
「じゃあこれから香澄ちゃんって呼ぶねっ!」
「はいっ」
ちょっぴり嬉しかった。
自然と頬が緩む。
気持ち悪い笑い方をしていないことを祈る。
あたしは汗を拭き、水分補給をして立ち上がる。
そろそろ再開のはず。
「よーし。それじゃあまず毎年恒例の度胸つけからやりましょーっ」
両手を挙げ、なにやら楽しそうに慎也先輩が言う。