サックスガール
「はい、ここに座って。」

さっきの先輩は、やっぱりサックスを吹いていたんだ。

「あ、ありがとうございます。」

あ、男の先輩もいるんだ。

女の先輩だけだと思ってた。

でも、クラリネットパートと違って笑顔がない。

真剣に練習している。

先輩にまだ恐怖心を抱いてる私にはこの空気は正直、苦しい。

吹奏楽部に入ったらサックス希望だったけど、こんなに重苦しいのかな?

だめだ、もう無理。

「ありがとうございました!」

お礼を言い10分もたたずに部屋を出た私のサックスパートの第一印象。

それは『男の先輩がいる』と『真剣に練習してて、少し怖い』だった。

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