ねぇ…先生。。
『卒業生退場です』
教頭先生の声で3年生は立ち上がり順番にひなだんから降りていく。
父兄の席に目をやるとお兄ちゃんと目が合った。
お父さんではなくお兄ちゃんに来てもらった。
お父さんなんか父親だとも思いたくない。
私の家族はお兄ちゃんと隼人だけなんだ。
先生がいなくても私が毎日寂しい思いをしなくてすんだのはきっと
お兄ちゃんと隼人のおかげだと思う。
いつのまにか
お兄ちゃんと隼人が隣にいても違和感を感じなくなっていて
もう当たり前のことになっていた。
当たり前のようにお兄ちゃんがいて
当たり前のように隼人がいて
これが当たり前の幸せなんだと
これが当たり前の家族の温かさなんだと知った。
うちの高校に就職が決まったお兄ちゃん。
うちの高校に入学が決まった隼人
本当は身内が同じ学校なのはいけないはずなんだけど
なぜか理事長がOKしてくれた。
お兄ちゃん…隼人…
これから3人でたくさんのこと乗り越えていこうね。