ありがとう

夢を見た。

3年前にやってきた『モル』のことだ。

当初は珍しいものということもあって多少なりとも可愛がっていたが、2ヶ月も経つとろくに掃除すらしなくなった。

「いい加減にしてよ!!あんた!!」

そう母親に甲高い声で怒鳴られるまで、あいつは糞まみれの中で生活していた。

「ごめん…モル…」

出発当日、あの横道に逃がしたモルの姿が夢の最後だった。
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