アイシング、マイラブソング
駅前に着くと金曜日=『はなきん』だからか、酒の匂いをさせたオジサンがタクシー待ちをする姿が目立ち、夜にしてはせわなかった。



そんな中、
僕はひたすら千架を待った。


この日は特別暑かった。

後で知ることになるが、翌日のニュースで熱帯夜だったと伝えているほど。


体の内から全身にかけてもわもわと暑さが広がる。


蒸し暑い。


けれど僕は
ベンチにじっと座って

言わば運命の時を待った。




「三上、待たせてごめん」




千架がやってきた。


冷淡な声で

僕に名字で呼び掛ける。



少し…いやかなり


心に穴が開いた気がした。



しかし、こちらも冷静を装って対応する。



「いいよ、それより呼び出したりして悪い。」



千架はかろうじて首を横に振って「いいよ」と言ってくれたのでホッとした。



早速その場で立ち上がり、
本題に入った。


いろんな理由で、

決心が鈍らないうちに、と。
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