アイシング、マイラブソング
―行く…
―行かない…
―行く?
―行かない…?



葛藤は卒業式まで続いた。




卒業式当日は快晴。




冬の終わりの冷えた風が吹きすさび、
学ラン越しに寒さをひしひしと感じた。


この感覚も今日で終わりかと思うと、寒いのが苦手な僕だがさびしくなった。




「いや~、三年間は長かったな」



式の後、
僕のクラスにやってきた祥が溜め息をつくように言った。

滞りなく最後の登校日は終了し、一応解散にはなったが、みな名残惜しくフリータイムを過ごしていた。



「俺には三年間短かったけど…」


「確かにお前は半分を美少女と過ごしたから早かったろうけど…こんな暑苦しい空間に3年もいたんだぜ?」


「お前こそ彼女5人くらいいたじゃん…みんな1ヶ月もたずだけど」


「だから長かったんだって。バーチャルの女には飽きたし…大学生になったら青春謳歌してやる!」


「“飽きた”って…どんだけバーチャルの女にハマってたんだよ…」



ゲーマーの祥らしい惜しみ方。


僕らは卒業したら、
学生と社会人として初めて別々の道を歩むんだけど、ヤツには変わらないでほしいと思った。
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