アイシング、マイラブソング
高校三年間通い続けた駅。


半分は孤独だったけど、

半分は千架との思い出も詰まってる。




―あの辺でメアド聞かれたんだ


―このベンチで語り明かしたこともある


―あそこの縁石で千架がつまずいたこともあって


―周りに人がいないのを見計らってキスもしたなぁ




「…思い出しすぎ」




無意識に千架のことばかりだから、思わず自分をたしなめた。




―今日はあまり感傷的になってはいけない




呪文みたいにそれを何度も繰り返し、自分に暗示をかけ続けた。



そうして瞑想じみたことをしていると、

数分もしないうちにキャリーバッグをひいた千架がやってきた。



白いダウンジャケットにミニスカート+ブーツの単純で懐かしいいでたち。

付き合っていた頃もこういう格好が多かった。




―あぁ…また感傷的。




邪気を飛ばすように2、3回頭を振った。
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