アイシング、マイラブソング

【3―2】秋の海、その夕べに

勝負の日は快晴だった。

10月初旬、涼やかな秋晴れ。

僕は待ち合わせの30分前に最寄り駅前に着いた。


こうして千架と待ち合わせるのは4度目だ。

初デートの映画、
2回目が遊園地、
次は水族館、
と遊びに行っている。


彼女は絶叫マシンが好きみたいで何回も乗った。
僕は苦手ながらも懸命に付き合って。

水族館ではペンギンのところで二人して1時間くらい飽きずに見入った。


―楽しかったな


思い出がぽんぽん浮かんでくる。


―今のうちにしあわせに浸っておこう


フラれてしまえば千架の名すら思い出してはいけなくなる。

その時のため、今と今日一日を精一杯楽しむつもりで臨んでいる。
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