アイシング、マイラブソング
結局二人夢中になって20個ぐらい集まった。


「なぁ…こうして拾いすぎてみると…いらないかも」

「三上の言うとおり…海に返すか」


都合良く言い訳しながら貝殻を海面へ飛ばした。

「すごーい、あんな遠くまで!」


「一応男だし♪」


千架の尊敬の眼差しに少し得意になった。


「うん、さすがだね」


さらに誉められて今度は照れくさくなった。


―今日の藤堂、
―いつにも増して素直っつーか、
―明るいっていうか、
―可愛いっていうか


そう思ったけれど、

逆に僕がいつもより余裕が無かったのかもしれない。


いつもなら気に留めないような言動も、今日は一言一句が心に響く。


今日が最後かもしれない、と
不安でいっぱいの心に。


告白に対してこんなに気構えているのは、気の小さい僕ぐらいかもしれないけれど。


ドキドキは止まらない。
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