【長編】雨とチョコレート
1学期初日だというのに午後から当たり前に授業があって、掃除があって、部活があった。

俺たち4人は帰宅部で、部活がない。

だから掃除が終わると、いつもの調子で教室に居残り、だらだらと話をしていた。



「にしても、担任がゆりぴょんでよかったねー」

「神崎喜んでたもんなー」

「かんちゃん、ちょっと」

「ゆりぴょんが一番マシって話しただけだって!」

「ふーん?」

「あきー・・!」



担任がゆりぴょんだったとき他のクラスからは「いいなー」って声が聞こえてきたし、クラスのやつらも結構喜んでた。

男女関係なく、ゆりぴょんは好かれてるから当然だよな。


「でも3組はかわいそうだったよな。あいつだろ、現社の・・・」


隣のクラスの担任はかなり苦手なタイプだった。


「二組合同の企画があると一緒とかって・・マジありえねぇ」

「わかるわー!進路指導の人だから口調きっついんだよねぇ。
でも、ほら、あたしはあの人じゃなくてよかったな。
えっと・・・生物の・・・誰だっけ・・ね、しの?」



話を振られたしののほうを見ると、しのはどこか明後日の方向を見つめていた。


「しの・・?」


岬の手のひらがしのの目前を上下した。

そこで、はっと気がついたようにしのの肩が動いた。

「あ、え? ごめん、なに?」

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