見えないモノと、指の銃。
「ところで、どうして三枝君を呼ぶの?」
それで何がどうなるのか疑問らしい彼に、
そういえば教えていなかった事を思い出す。
……勝手に教えていいもんだろうか。
誰かに言う機会も無いし、そんな事、考えた事すらなかった。
でも一部で有名らしいし、大丈夫だろう。
問題は、俺だって理解しきっていない事だ。適当に説明しておこう。
「色々撃って消せるらしいですよ。幽霊とか」
それしか言わなかったけれど、
加々美さんは納得していた。
「ああ!じゃあ、そうか……」
そして独り言を漏らされ、
ブツブツ聞こえてくる内容から、
三枝の名前は知らなかったけれど、
そんな感じの人物が居るという事は知っていたらしい事がわかった。
そういえば三枝、
『他にあるかもしれない』とか言ってたっけ。
そのあるかもしれない事を気にしつつも
走り続けていた俺たちは、すぐに三枝らしき人影を視界に入れる事が出来た。