見えないモノと、指の銃。
「三枝っ、かげぐち君いた!」
割と近い距離で、やっぱり蠢く茂み。
そこを指さしながら三枝に知らせる。
「やっぱり第一発見者は先輩ですか?」
呑気な声でそう言いながら、彼はこちらへ歩みを進める。
近づいて来ると、かげぐち君との距離も縮まる。
どうやら人数が多いと混乱するらしい。
かげぐち君の叩く陰口は、
段々と、繋がらない、単語の羅列のようになっていく。
「嫌い欲しがってもったいないぃ
1人だけ助けられないからー
死んでみたらわからないのにねー
早く鏡バイバイしちゃってねー」
語尾伸ばしはそのままに、
意味不明な言葉を発していく。
それを聞き流しながら、
三枝は手を伸ばし、もう片方で茂みを掻き分けた。
植込みの間に入り込んでいたのか、
探るように覗き込み、そこに手を差し入れた。
……すると間もなく、声は聞こえなくなる。