見えないモノと、指の銃。
「ちょっと思い込み激しいみたいですね!」
楽しそうな三枝がこの上なくムカつく。
それを抑えて、俺は尋ねた。
「……お前の言う、
諦める勇気ってなんだよ」
「無理に期待に応えようとする事、
応えられずに、いじける事。とか
その辺りを諦めればいいんですよ」
「……いじける……」
その一言で片づけられたら、
まるで子どもみたいじゃないか。
だけど、確かにそうかもしれない。
「開き直っちゃえばいいんです。
出来ないものは出来ない。って。
それでも八紀は、先輩に失望したりしない筈です。
話した事も無いですけど、
お母さんだって、少なくとも先輩を嫌いな訳では無いですよ」
八紀が八紀である時、
俺を心配する様子を聞いたのだと言う。
俺がきっと八紀の中で眠っている時に、
父さんも含めた3人は、よく見舞いに行っているらしい。