扉を開けて

ふと委員長の声が止む
時間をちらりと見るといつもの時間、学校に向かわなければ間に合わない時間だった

僕は窓から外を眺めた
犬を連れて散歩する老人、ランドセルを背負って登校している小学生達、そして手を繋いで歩く親子
家から出たくないわけではない
人々が織り成している絆や愛に憧れていないわけではない
羨ましくないわけではない
ただ、そう認めたくないだけ
自分がそう思っていると考えたくないだけ
そう分かっているのに抗えない感情だった

僕は窓から目を逸らし、もう一度眠るためベッドに横になった
見上げた天井には、空虚な色のみが見えた


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