氷狼―コオリオオカミ―を探して
3
「あの人に本当の記憶を取り戻してもらえばいいのかな」
「それが一番だが、危険も伴うぞ。すり替わった記憶の方を思い出せば、あなたが我らの方へ近づく」
「そうか……」
「今すぐという感じではないな。だが、このままでは次の冬には――」
あたしは目を閉じた。
もともと帰って来るつもりはなかった。
翔くんと過ごしたこの一年は贈り物だ。
ないよりまし
いつかイタチが言った通りだったかも。
「もしダメだったら、連れて行ってくれない? 来年ここで待ってる」
「それは構わぬが」
「それが一番だが、危険も伴うぞ。すり替わった記憶の方を思い出せば、あなたが我らの方へ近づく」
「そうか……」
「今すぐという感じではないな。だが、このままでは次の冬には――」
あたしは目を閉じた。
もともと帰って来るつもりはなかった。
翔くんと過ごしたこの一年は贈り物だ。
ないよりまし
いつかイタチが言った通りだったかも。
「もしダメだったら、連れて行ってくれない? 来年ここで待ってる」
「それは構わぬが」