氷狼―コオリオオカミ―を探して
「弱気になるなって、トムボーイ」

狐が慰めるように言った。

「あんたらしくないぜ」


あたしは笑った。


「そうだね」


「時にトムボーイ」

イタチが言った。

「チェイサーがこっちに来るぞ。あなたはつけられていたのではないか?」


振り向くと、翔くんが人の間をぬってあたしの方に来るのが見えた。


「行って。あの人には会わないで」


「しょうがねぇな。じゃあなトムボーイ、しっかりやんな」


「どっちにしろ来年ね――あっ! ちょっと待って」

あたしはポケットからライターを取り出した。

「種火はいらない?」


白魔達は声を立てて笑った。


「ありがたく頂いて行こう」
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