氷狼―コオリオオカミ―を探して
「危ない!」


馬の乗り手があたしの体を引っ張り、勢いあまって二人とも倒れた。


次の瞬間、車道から乗用車が突っ込んできた。


フロントガラスに狐が張り付いてニヤニヤ笑っている。


誰かの悲鳴が聞こえる。


――女の子がひかれた!


――救急車!


「ハルカ! しっかりして!」


泣き顔のサヤが倒れているあたしを覗き込む。


「今、救急車来るからね!」


あたし、ひかれてないんだけど


そう言いたかったけど、狐とイタチに手足と口を押さえられて、あたしは身動きできなかった。
< 19 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop