もっと早く‥
数日後、俺はあの兄貴に会いに紗夢の家を訪ねた。





「またお前か。」



「紗夢は本当にここにいないのか?」



「いない。何度言ったらわかる。」






紗夢の兄貴は大きなため息をついた。





「なら捜査願を出してくれ。」



「はぁ?大袈裟な。」



「どこが大袈裟だよ。出せよ。」



「それが人に頼み事する言い方か?」



「出してください、お願いします。」





俺は頭を下げた。




でも。




「はははっ!!お前バカじゃねぇの?帰れ。」





ドアがバタンと閉まる。






「チッ。」




俺は仕方なくその場を後にした。
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