25番の背中
『岡山県』と書いた看板を通り過ぎトンネルに入る。
私が起きてから約2時間がたった
車内はラジオのFMが流れ、
私と運転手は起きてからあまり
言葉を交わしてない
人と話すのはあまり得意じゃない
特に男は苦手だ。
暗いトンネルの中 オレンジ色の光が顔に映る
トンネルに入ってからというものラジオは電波が届かないのかノイズ音ばかりが聴こえる
今ごろみんな 何してるんだろ………
あーあ、引っ越したくなかった………
なんだろう、このラジオみたいだな……私…。
きっと、私の心はこのラジオに毒電波でも送っているのだろう
そんなことを思っていると、
少しずつ視界が明るくなった
どうやら、もう直ぐでトンネルを抜けるようだ。
出口が近づくにつれ明るくなっていくが、
出口から見える景色は、トンネルを入る前の景色と比べると
暗く曇っているように見えた
すると出口を出た途端 たくさんの水の粒が窓ガラスに打ち付けた
雨だ。
『おわっ、雨降ってた!』
突然の雨に驚きながらも、ハンドルの周りにあるレバーを引き下げ
ワイパーを動かす引っ越しセンターの人
トンネルに入る前と後ではこんなにも天気が違うものなのだろうか
どうやら、天にも私の毒電波が届いてしまったらしい
私は当たっては砕け散る水の粒を見ながら そんなことを考えていた
後にこの雨が大惨事を起こすとも知らず―――……