秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*

安静にしてろ安静にしてろとうるさいわりには、扱いが雑ね。

わたしがひっくり返ったのって、きっとあなたのその手が原因よ。

ほら…予告もなしにぐいんと引っ張ったじゃない?

だからよ。…ふっ。


「気ィ抜けよ」


「抜けまくってますよおかげ様で」


魂ごと吹っ飛びそうだったわよ。


「……あのな」


「なあに?」


「一応言っとくが、俺もいるんだぞ」


「…!」


…な…。


「なにを分かりきったことを」


「分かってんのか本当に?」


「……え、まさかの幽霊? あれは夢だったの!? 今ふと下を見たら足がなかったりするの!? え、じゃあどこから夢!? あたしって実はバイオリンできるとか!? あたしのお腹の中には赤ちゃんいるんですか!?」


「……」


そういえば…お腹が一向に大きくならないわ。

ひょっとして夢だったんじゃないかしら。

赤ちゃんが出来たのも夢だったんじゃないかしら。

きっとそうだわ。そうに違いな…。


「ハア…。こんなのに惚れるバカの顔が見てみたい」


「はいどうぞ」


「……なんの真似だ」


だって…顔が見たいって言うから、鏡をね。

見せてあげたのよ。


「ぶっ…くくくっ……あっ…ご、ごほん。お待たせしました。お食事をお持ちいたしました」


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