名前も忘れてしまった
シーン……
静かになってしまった屋上。
風はいつまでも吹いているけど。
風のようだった、木下くん。
いや、風だったんじゃないかな?
そんな風に感じてしまう。
……自分に自身持て
木下くんの言葉が頭の中をリピートする。
持てるかな、私。
自分のこと好きになれるかな、私。
「ふぅー…」
私は大きく息を吐いた。
なんだか、いつのまにか泣いているのも忘れてしまった。
木下くんが忘れさせてくれた。