逆転リバース
「芸能人一人でうちの事務所のイメージや品を下げるんだ」
何時間くらいお説教が続いたのだろう。
目が熱くなり目眩がしてきた。
「……………と、普通なら言うだろうな」
「え?」
社長が笑う。堪えるように笑い、私も椿も意味が分からず放心状態。
「まあ、気にすんな。イメージなんて戻せば良い。そんな実力もない奴らは事務所にいないからな」
「社長……」
「ママタレ、パパタレでいくか?」
「別に普通で良いんじゃないか? 俺はタレント。結城は役者」
「キャッチコピーも必要ないよ。私は私だし、バラエティも何でも出る。まだ、このままだと言うなら、それに従う」
「なら、男装、女装のままだな」
私は社長のことを勘違いしていた。
そういえば、こういう性格だった。
楽しいことが全ての人だ。
だからこそ、私はこの事務所にしたんだっけ?