逆転リバース


カミングアウトして次の日の新聞の一面に、私たちのことが載った。

椿は腰に手を当てて、新聞に目を通していた。


「はえーな。パパラッチ」

「全くだね。まあ、社長の思惑もあるんだろうね」

「……」

「嫌だった?」

「事実を嫌だと言って何があるんだよ。バレてホッとしてる」


少し大人っぽい笑顔を浮かべる椿に、心臓がドクリと音を立てる。

それをバラさないように、平静を装った。


「今日から騒がしいね」

「結城、仕事は?」

「海外のアニメのアフレコ。初めてのことだから緊張してるんだ」

「出来たら、一緒に映画に行こうぜ。ルーも連れてな」

「うん!! 行ってきます」


軽くキスをすると、私は家を出た。
久しぶりのキスに、少しだけ寂しくなった。

もっと、だなんて欲張りかな?


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