好きな人は、
朝起きたら目はパンパンで。
昨日の出来事が現実だと言うことを確認させられた。
……自分で決めたことだけど。
部屋に少しだけ残っている彼の私物が、あたしの気持ちを揺さぶる。
スウェット、歯ブラシ、ネクタイ、ワイシャツ、そして奏の部屋の合カギ。
一ヶ月以上そのままのそれらを見て、感傷的になっちゃう自分が嫌だ。
思わず全てを一つの袋にまとめ、時計を確認してスウェットのまま家を出る。
11時。彼は確実に職場にいる。
今のうちに、奏の私物を返しておこう。
合カギは、ポストに入れとけばいい。
また顔を合わせたら、認めたくはないけれど心が、頭が、彼でいっぱいになってしまいそうだから。
もう、抜け出せなくなっちゃいそうだから。