好きな人は、
彼のアパートに向かう途中、懐かしいものがいっぱいあった。
よく2人で散歩した公園。
この冬を越えればキレイな桜が満開で。
毎年開花が楽しみだった。
憧れのブランドのジュエリーショップ。
ゼロの数に笑っちゃう高価で眩しい指輪をショーウィンドウ越しに見つめて。
仕事頑張って買ってやるから、なんて言ってくれたのはほんの一年くらい前だ。
少し古くさい、喫茶店。
特にすることも無かったとき、ただ一緒にいたくて何時間も語り合った。
初めてデートした遊園地の観覧車。
てっぺんから見た夜景は、忘れられない。
それだけじゃない。
今歩いている道が、今見ている景色が、彼との思い出そのものなんだ。