誠-変わらぬ想いの果て-
「………いえ、自分で決めさせて下さい」
奏は実に緩慢な動作で、衣装箱の中をあさくった。
「これと、これでいかがです?」
奏が取り出したのは、ワインレッドのドレスに、黒のボレロだ。
ドレスの方はロングドレスで、胸元にバラのコサージュがあしらわれており、そこから流れるねじられた布が下まで流れている。
サテン地で光沢もあり、マーメイドタイプだ。
ボレロもバラ模様を適所に入れられている。
『おおっ!!』
「さすが奏。いい見立てね!!でも、せっかくなら膝丈にすればいいのに」
「肌を必要以上に見せるのに慣れてませんから。制服ならまだしも」
どうやら、膝丈は論外ならしい。
だが、いい。
むしろ、いい。
ワインレッドに黒という妖艶さが出ている。
「これで文句がある方は?」
みんなは奏の気が変わらないうちにと、すぐさま首を振った。