誠-変わらぬ想いの果て-



「だからあいつ、まだ時期ではないとか言ってたのか」




原田が思い出したようにポツリともらした。




「あいつ?」



「あー……小野……妹子?」



「小野篁殿だよ」



「あぁ、そうそう、そういう奴。

まったくよー」



「俺達が行くなり冷てぇー目で見やがってな?」



<お前達は通すなと上から命令が来ている。

何をしでかした?>



「何もしてねぇーよっ!!」




永倉が両手をワシャワシャとさせながら叫んだ。


あまりにも鬼気迫る様子に、背景に雷を落としてやろうかとついつい思ってしまった。




「しいていうなら今したね。

小野妹子って時代違う」



「間違えただけだろうが。

人のあげ足とんなよ。

趣味悪ぃな」




永倉は眉をひそめ、奏をじっと見た。


だが、奏は気にせず―――。



< 19 / 254 >

この作品をシェア

pagetop