誠-変わらぬ想いの果て-
「――――いやー。
いいね、本当に」
一方の奏は始終ご機嫌だ。
席も窓際の後ろから2番目。
前の席は山崎。
そして何より、沖田と珠樹が熱く握手をしていた。
席が廊下と反対側のためと、教室の喧騒のため、何を話しているかまでは聞こえなかったのだ。
なので、奏にはこう写っていた。
<さっきは気に食わないとか言ってごめん。 これからよろしく>
<僕の方こそ。 たかがクラス割りのために山崎君にもひどいこと言っちゃったね。 奏ちゃんがいいって言ってるんだし、良かったのかもね>
そこであの熱い握手。
大分脚色、誤解、願望が混ざったストーリーが出来上がっていた。
奏が頭の中の沖田に言わせた、たかがクラス割りのために、山崎は命の危険にさらされようとしている。
「奏、仕事を忘れるなよ?」
「分かってるって」
本当だろうな?
大いに不安が残ったが、今の奏には何を言っても無駄だ。
自分の頭の中で、さっきの沖田と珠樹の握手から、奏の都合に合わせた展開が繰り広げられているのが分かりまくりだった。