かんぺきなあいつ。
「じ、つ、は!」
このときの俺の勘は見事に的中していた、と思う。
「昨日のー、帰り道にー!」
そう大声で叫んだ翔正は
次の言葉からは俺の耳元で小さい声で喋り始める。
「柚木と美羽が話してんの、聞いちゃったんだよね」
−ピキッ
…え?
それを聞いた瞬間、まるで全身が凍りついたような感覚に襲われた。
翔正なんかに耳元で囁かれてきしょくわりぃ、てのもあるけど。
今は違う、
何かもっと全然違う別のことのせいで…
そして次の翔正の台詞を聞いた瞬間、
俺はその‘別のこと’が何なのか瞬時に理解した。
「柚木、‘まだ’星のこと好きだったんだな」
−ピクッ
まだ全身凍りついたような感覚は続いているのに、眉毛だけが上下に動く。
そして一気に押し寄せてくる絶望感。