かんぺきなあいつ。



「翔正にバレた…」






何がバレたのか言わなくても三広は悟ったのだろう。


完全な呆れ顔で


「柚木お前は本当に馬鹿だな」


と冷静に言われた。



「…馬鹿じゃねぇし」


「じゃあ阿保か」


阿保でもねぇし、と三広に伝える気なんか更々なくて


独り言のように呟く。


当の本人は聞こえているのかいないのか分からないけど。


それか俺が何を言うのか大体分かるのだろう。


じゃあマヌケか、クズか、ゴミか、と段々と例える対象が劣化していった。


それに俺は全く同じようにマヌケじゃねぇし、クズじゃねぇし、と言い返す。





そんなことを飽きもせず何回も繰り返していると


「柚木お前やっぱ大馬鹿だわ」


という三広の台詞を耳にした瞬間、2時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。



それとほぼ同時に教室に来たのは担任の大場 敦子。
< 32 / 40 >

この作品をシェア

pagetop