かんぺきなあいつ。
「翔正にバレた…」
何がバレたのか言わなくても三広は悟ったのだろう。
完全な呆れ顔で
「柚木お前は本当に馬鹿だな」
と冷静に言われた。
「…馬鹿じゃねぇし」
「じゃあ阿保か」
阿保でもねぇし、と三広に伝える気なんか更々なくて
独り言のように呟く。
当の本人は聞こえているのかいないのか分からないけど。
それか俺が何を言うのか大体分かるのだろう。
じゃあマヌケか、クズか、ゴミか、と段々と例える対象が劣化していった。
それに俺は全く同じようにマヌケじゃねぇし、クズじゃねぇし、と言い返す。
そんなことを飽きもせず何回も繰り返していると
「柚木お前やっぱ大馬鹿だわ」
という三広の台詞を耳にした瞬間、2時間目の始まりを告げるチャイムが鳴った。
それとほぼ同時に教室に来たのは担任の大場 敦子。