金髪王子2

「あ、今日も、送ってくれなくていいから」


「そっか、わかった。
じゃ、気をつけて」


「うん」




栞に見送られて、ひとり電車を降りる。


でも、なんだか立ち去りがたくて、その場で、栞を見送ることにした。


栞は、俺に背を向けて座ったまま、俺がまだここにいることに気付いていない。


やがて扉が閉まり、電車が発車する。


栞を乗せて、小さくなっていく電車。


なんだか、栞を連れ去られるような気分だ……。

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